リベラルアーツ
2023.06.09
【酒池書林】桜井進『雪月花の数学』
青山学院大学教授・岸田一隆
中世欧州の大学におけるリベラルアーツ(自由学芸)7科の中に、算術と幾何学の2科目がありました。他方、我国では古くから数学が独自に発展してきました。西洋の黄金比に対して、日本では「1:ルート2」の 白銀比が重視され、大工の曲尺からはじまって茶室や法隆寺の寸法にもこの比率が見て取れます。葛飾北斎の描いた富士山の稜線が指数関数と重なる話など、見慣れた例を引きながら、数学の面白さをやさしく語るこの本を、科学コミュニケーションに情熱を注ぐ原子核物理学者が推薦します。(聞き手:賢者のワイン店番・上野善久)