リベラルアーツ
2023.07.07
マーシャルを最後に産業を忘れた経済学
東京大学名誉教授・早稲田大学教授 藤本隆宏
いま経済学の主流となっている交換の経済学を、最初に理論化したのがマーシャルです。その交換経済学の大家が最後の著作で中心テーマとしたのが「産業」でした。お弟子さんのピグーも主流派経済学者としてノーベル賞を2回取ってもいいくらいの業績を残していますが、彼も最後に「生産の経済学」が必要だと言っています。大家とはそういうものです。産業の経済学がないと、日本でこの30年に製造業の生産性が5倍10倍になって中国の猛追に負けなかったことを説明できません。生産管理の世界的権威が、経済学に敬意を払い溢れるように熱く語ります。
(聞き手:賢者のワイン店番・上野善久)